2015年12月11日

れた親達に

れた親達に
 広い温泉で、三太はパチャパチャ泳いで遊んだ。
   「三太さん、泳ぎが上手ですね」
 お姉さんは、にこにこ笑って見ていてくれた。
   「疲れた、お姉ちゃん、膝に据わらせて貰ってもええか?」
   「はい、いいですよ」
 女が両足をくっ付けて屈んでいる膝に、三太は後ろ向きに座った。
   「お姉ちゃん、凭れてもええか?」
   「はい、どうぞ」
 三太は、なにやら背中をモゾモゾ動かしている。
   「どうしたの? 背中が痒ゆいの?」
   「へえ、背中に丸いものがコロコロ当たりますねん」
   「これ、私のお乳です」
   「へえー、何か固くなってきたような…」
   「あんた、本当に子供ですか? 大坂の’ちっこいおっさん’と違いますか?」
   「六歳の子供です」
   「よく分かっていて、やっていますでしょう」
   「いいえ、何も、わい痴漢とちがいますから」
   「分かっているから痴漢なんて言葉がでたのでしょ」
   「えへへ、ばれたか」
 三太、赤い舌をぺろり。
   「お姉さんねえ、男の人に裸をみせてお金を頂戴するお商売をしていますの」
   「ふーん」
   「大人なら二朱戴くところですが、あんたは子供やから子供料金の一朱に負けておきます」
三太は驚いた。三太を負ぶって番所まで来たオネエが、子供に悪戯をしては殺す、強奪はする、詐欺はする、実は札付きの悪党で、子供を殺された親達が出し合って、銀五十両の賞金が付いていたのだ。
 新三郎に心を制御され無抵抗であったが、凶悪犯のために亀甲に縛り上げ、役人の護衛を付けられて、代官所へ連行されることになった。賞金貰えるから、三太も付いて来いと言う。
   「わい、お金仰山持っとるねん、銀五十両なんて重いから要らん」
   「お前、子供やから五十両の値打ちが分からへんのやろ」
   「それくらい分かるわい」
   「ほんなら、貰っといて家に持って帰ってやれ、お母さん喜ぶで」
   「わいは旅の途中や、重いから要らんと言っているのや」
   「ああ、さよか」
   「ああ、さよかて、おっさんが盗ったらあかんで、子供beauty online shopを殺さ、大坂の三太からお線香代やと言うて、返してあげて」
   「誰が盗るかい、それより何で名前売るのや」
   「この先、何処で親達と逢うかわからへん、その時、わいのことを知っていてくれたら、只で泊めてもらえるやないか」



Posted by 吉は笑顔を引っ at 11:53│Comments(0)
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